INFORMATIONインフォメーション

NEWSその他お知らせ

2025-09-24

「LSPで広がるキャリアと実践:ファシリテータたちの物語」
第2回

 

LEGO® SERIOUS PLAY®(LSP)は、世界中で組織変革や教育の現場に導入されている、対話と創造のためのメソッドです。

この記事では、LSPファシリテータ養成トレーニングを修了した方々の実践と気づきを紹介します。彼らがどのように自分の仕事や人生にLSPを取り入れたのか——その生の声から、あなた自身の現場でのヒントや次の一歩を見つけていただければと思います。

今回のインタビュー:
東京都で小学校教員をしていた森本さんは、「どうすれば子どもたちが学びに前向きになれるのか」という問いを持ち続けていました。2013年、教員を辞め、シンガポールで4日間のLSPトレーニングに参加。

言葉の壁を越え、世界の仲間と協働する体験が、彼の人生をどう変えたのか——


教員からファシリテーター  – 受動的な学習への課題意識
森本さんは、東京都で9年間、小学校教員として教壇に立っていました。その中で、多くの児童が「学びたいと思って学んでいるわけではない」という受動的な状況に直面し、「どうやって彼らに必要な学びを届けるか」という大きな課題を抱えていたといいます。そんなときに出会ったのがLSPでした。初めてワークショップを体験したとき、「この手法なら子どもたちも前のめりになって学んでくれるはず」と直感します。そして2013年、教員を辞めた直後にシンガポールで4日間のLSPファシリテーター養成トレーニングを受講する決意をしました。

言葉を超えた対話 – シンガポールでのトレーニング
国際トレーニングは、当時フィリピンに住んでいた森本さんにとって、言語の壁という新たな挑戦でもありました。

「講師の英語は半分しか理解できなかった」と振り返りますが、それでも得た経験は今も大きな財産だといいます。

「分からなくてもいいや、これを機に勉強しよう。」

覚悟を決めて臨んだトレーニングでは、LSPの「ブロックで考えを表現する」という特徴が森本さんを助けました。特に、英語が母語ではない森本さんがインド人の女性とペアを組んでワークショップを設計した経験は強く印象に残っているそうです。言葉の壁を超え、ブロックを介して互いの考えを共有し、一つの作品を作り上げました。

さらに、トレーニング中に他の受講者が森本さんを表現するレゴ作品を作ってくれたとき、「自分の内面の一側面が正確に捉えられている」と感じ、LSPが言葉にできない思いや考えを伝える強力なツールであることを実感したといいます。

組織変革の波に乗る – LSP普及の12年
帰国した当初、LSPは日本でほとんど知られておらず、仕事として成立させるのは難しかったといいます。それでも少しずつ関心を持つ「イノベーター」たちが現れ始めました。この12年間で、日本の組織が抱える課題は大きく変化しました。昭和型のピラミッド組織では上意下達が当たり前でしたが、成果を出すため、若い世代のエンゲージメントを高めるために、オープンでフラットな組織の必要性が高まってきたのです。

「上意下達の組織で『対話しましょう』と言っても普通の研修ではうまくいかない。」

LSPなら誰もがオープンに語れる場がつくれます。その力を多くの企業が評価し、「うちの組織でもやりたい」と採用するケースが増えていきました。

森本さんが携わったプロジェクトは、ミテモ株式会社での活動や個人事業主としての依頼を含めると500社以上に及びます。当初は「おもちゃでしょ」と冷ややかだった業界の人たちが、組織課題に行き詰まったとき「お願いします」と依頼してくるようになった変化を実感しているそうです。

LSPの哲学を核に – ジン・ジーン プロジェクト
近年は、定型的なLSPワークショップから一歩離れ、より深く複雑な組織課題の解決に焦点を当てています。その中心にあるのが森本さんが「ジン・ジーン」プロジェクトと名付けたビジョンです。「ジン・ジーン」には、人としての思いやりを意味する「仁」と、感動の「ジーン」の二つの意味を込めているといいます。森本さんは「仁」とはインサイト(洞察力)であると知り、それに強く共感を覚えました。

「今は、相手が本当に求めているものを深く理解することこそが、対話と価値創造の根幹にあると考えています。」

この哲学は、LSPトレーニングで学んだ「創造的で対話的な場」のつくり方と通じるものがあります。森本さんはLSPを前面に出すことは減ったものの、その根幹にある哲学をより高度な組織変革に活かし続けています。

「世界への冒険のチケット」を手に
今後は「人」プロジェクトを軸に、日本人の海外進出支援や、日本社会の移民受け入れに伴う異文化間教育に取り組んでいきたいと語ります。

LSPトレーニングを検討している人へ、森本さんは「山登り」に例えてメッセージを送ります。

「人生はエベレスト登頂のような難所の連続であり、LSPはその困難を乗り越えるためのツール。」

LSPは仲間とアイデアを共有し、自分が本当に登りたい山を見つけて登り続けるための助けになります。そして最後に、森本さんはLSPを「自分の冒険を世界に広げるチケット」と表現しました。LSPファシリテーターになると、国境を越えてさまざまな国の人々と協働できる。これは他のツールにはない価値だといいます。

森本さんのキャリアは、個人の課題を解決するための一歩が、多くの組織や人々の変革を促し、世界へとつながっていく物語です。LSPはその物語を紡ぐための強力なツールであり、森本さんの活動の土台となる哲学として生き続けています。

森本 康仁さん
きづきくみたて工房 代表
LEGO®シリアスプレイ®メソッドと教材活用トレーニング修了認定ファシリテータ


LEGO® SERIOUS PLAY® ファシリテータ養成トレーニングのご案内

(株)ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツが提供する公式LEGO® SERIOUS PLAY®メソッドと教材活用トレーニングは、4日間でLSPの哲学と実践を体系的に学べるプログラムです。

対象:
キャリアチェンジや学び直しを考えている方、教育・人材育成の現場に関わる方、組織開発やチームづくりに取り組む方、そして「今の会議や話し合いの場をもっと意味あるものに変えたい」と思っている方に特におすすめです。

森本さんのように、現場から組織やチームの変化を起こそうとする方にとって、大きな示唆を与えるはずです。

トレーニングの内容:LSPの背景理論、基本プロセス、プログラム設計と実践演習
詳しくはこちらをご覧ください。

修了証:Association of Master Trainers in the LEGO®️ SERIOUS PLAY®️ method(本部:デンマーク)発行の公式修了認定証を授与

2025年は10月・11月・12月に開催予定!
お申し込み・詳細はこちら:https://www.seriousplay.jp/blog/information/2025tr-10-12/

アーカイブス