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2025-09-22

「LSPで広がるキャリアと実践:ファシリテータたちの物語」
第1回

下田泰奈さん「変化をつくる人のための学びの場」

LEGO® SERIOUS PLAY®(LSP)は、世界中で組織変革や教育の現場に導入されている、対話と創造のためのメソッドです。

この記事では、LSPファシリテータ養成トレーニングを修了した方々の実践と気づきを紹介します。彼らがどのように自分の仕事や人生にLSPを取り入れたのか—その生の声から、あなた自身の現場でのヒントや次の一歩を見つけていただければと思います。

今回のインタビュー:
2019年3月、東京での4日間のLSPファシリテータ養成トレーニングに参加した下田泰奈さん。大学転職直後の不安や新しい挑戦への迷いを抱えながら、ブロックを使った対話で「こんなにフラットに話せる場があるんだ」と衝撃を受けたと語ります。

その経験が、下田さんのキャリアと研究の方向性をどう変えたのか


キャリアチェンジは、多くの人にとって大きな決断です。特に、畑違いの分野に飛び込むとき、 新しい環境にどう適応し、自分のスキルを活かしていくか、悩む方も多いのではないでしょうか。今回は、 過去にそんな転機を経験された下田泰奈さんに、これまでのキャリアと、レゴ®シリアスプレイ®(以下、LSP)との出会い、そしてその後の活動についてお話を伺いました。

予期せぬキャリアチェンジと LSP との出会い
下田さんは、2018 年までドイツの化学メーカーや日本の企業で会社員として働いていました。しかし、ある縁をきっかけに、アカデミック分野へキャリアチェンジします。この決断は、ご本人にとって大きなものでした。ビジネス分野とアカデミック分野では、物事の進め方や考え方が大きく異なり、新しい環境に慣れようと試行錯誤していた頃だったそうです。

そんな中、偶然にも LSP のワークショップに参加する機会を得ます。この一回のワークショップが、 その後の下田さんの人生に大きな影響を与えることになります。もともと小さい頃からレゴブロックが好きだったという下田さんは、「ブロックを介して人と人が対話する 」という LSP の手法に衝撃を受けました。特に魅了されたのは、LSP がもつ対等な世界観です。 ビジネスでもアカデミックでも、 名刺で始まるコミュニケーションが一般的です。 一方、LSP の場合、 参加者を繋ぐ共通項はブロックのみ。 ワークショップの間は、 国籍や世代、 性別、所属も役職も一切関係なく、 参加者全員がフラットに対話します。ブロックの前では誰もがそれぞれに価値観や人生観をもつ一人の人間です。

LSP はそのカラフルなブロックの力を借りて、 楽しみながら、 真剣に、 対話を通して課題を考えるワークショップです。下田さん自身、 ブロックを介したコミュニケーションを初めて経験し、 普段はなかなか話せないような本音や考えを、お互いに否定することなく共有できることに大きな可能性 を感じたといいます。

ファシリテーター養成トレーニングでの気づき
この経験がきっかけとなり、下田さんは 2019 年にファシリテーター養成トレーニングを受講します。トレーニングの期間中、最も印象的だったこと、そして今でも「財産」だと語るのは、共に学んだ同期とのネットワークです。LSP という共通のキーワードのもとに集まった多様なバックグラウンドを持つ仲間たちと過ごした 4 日間は、気付けば互いの内面をさらけ出し、深く語り合う貴重な時間となりました。

また、トレーニング 3 日目のプログラム作成演習も強く印象に残っているそうです。それまでの 2 日間で学んだ理論を、実際に自分たちの手でプログラムとして形にする過程で、「分かったつもりになっていた」ことに気づかされたと言います。この演習をやり遂げたことで、達成感とともに、LSP を深く理解する大きなきっかけになったと振り返ります。

「Do Something Soon」:学びを仕事に活かす第一歩
トレーニング修了後、下田さんは北九州に戻り、すぐに LSP を自身の活動に取り入れ始めました。そこで活かしたのが、トレーニングで学んだ「DSS(Do Something Soon:すぐに何かをしてみよう) 」という考え方です。

まず、LSP 専用のブロックを買い揃えることから始め、トレーニングで得た知識を忘れないうちに、とにかくプログラムを設計し、一人で実践することにしました。 当初はまだ福岡や北九州で LSP はほんの一部の人にしか知られておらず、ビジネスとして展開することは難しかったそうです。

そこで下田さんは、自身が所属する大学の学生 4 人を対象に、LSP を実践する機会を設けることから始めました。学生たちが自分たちの活動の意義を整理するワークショ ップを開催し、まず DSS を実践しました。その後、少しずつ LSP を実践する場を探し、数年をかけて、 市民講座や他大学での講義、そして現在では企業研修へと活動の場を広げていきました。また、実践の場を広げるにつれて、他の LSP ファシリテータとの交流や協働機会も増え、今では国内外のファシリテータ仲間の存在が心強いと話します。

企業研修での手応えと LSP の可能性
下田さんは、企業の新人研修や中間管理職向け研修、組織横断型のワークショップにも LSPを活用しています。参加者からは、 「自分の考えが整理された」「相手がどう考えているか、初めて気づかされた」という声が多く聞かれるそうです。 また、 当初は 「ブロックを使って何をするんだろう?」とやや LSP に懐疑的だった参加者から、ワークショップが終わる頃には、 「時間が経つのを忘れて没頭してしまっていた!」と言われる機会も多いそう です。下田さん自身、 ブロックというツールを介することで、参加者同士の間に心理的安全性と信頼が生まれ、活発で建設的な対話が生まれる瞬間を見るのが、 ファシリテータとして最も幸せを感じる瞬間だそうです。

今後の展望とキャリアを考える方へのメッセージ
今後の展望について、下田さんは企業研修を継続していくことに加え、LSP と企業価値の発見を結びつける「第三のイノベーション」に関する取り組みを福岡から広めていきたいと語ります。さらに、海外に向けて英語でワークショップを開催することにも意欲を示しています。 最後に、キャリアや教育、組織開発に関心を持つ方々へ、下田さんはこうメッセージを送ります。

「LSP は、人が 3人以上集まる場所であれば、 どんな組織やチームでも使えるツールです。多様な価値観を持つ人々が集まる中で、お互いの意見を否定することなく、フラットな対話の場を作ることができます。 LSP によるコミュニケーションをまずは体験し、 知ること。 それはきっと、 楽しみながら真剣に課題に向き合う誰かとの対話を実現するだけでなく、 新しい自分自身と出会う第一歩にもなるでしょう。」

下田さんのキャリアは、偶然の出会いをチャンスに変え、自身の「好き」を仕事にすることで、 大きく広がってきました。LSP は、彼女のキャリアを切り拓くための強力な武器となり、今では多くの人々のキャリアや組織の変革を支援するツールとして活用されています。キャリアに悩んでいる方、新しいスキルを身につけたいと考えている方にとって、下田さんのお話は、きっと大きなヒントになるのではないでしょうか。

下田泰奈さん
北九州市立大学地域戦略研究所特任研究員
LEGO®シリアスプレイ®メソッドと 教材活用トレーニング修了認定ファシリテータ


LEGO® SERIOUS PLAY® ファシリテータ養成トレーニングのご案内

(株)ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツが提供する公式LEGO® SERIOUS PLAY®メソッドと教材活用トレーニングは、4日間でLSPの哲学と実践を体系的に学べるプログラムです。

対象:
キャリアチェンジや学び直しを考えている方、教育・人材育成の現場に関わる方、組織開発やチームづくりに取り組む方、そして「今の会議や話し合いの場をもっと意味あるものに変えたい」と思っている方に特におすすめです。

下田さんのように、新しい役割や環境で自分らしい対話のあり方を探求している方には、きっと共鳴する内容です。

トレーニングの内容:LSPの背景理論、基本プロセス、プログラム設計と実践演習
詳しくはこちらをご覧ください:

修了証:Association of Master Trainers in the LEGO®️ SERIOUS PLAY®️ method(本部:デンマーク)発行の公式修了認定証を授与

2025年は10月・11月・12月に開催予定。
お申し込み・詳細はこちらから。

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